第三回:BEPS行動計画とCRSについて
現在グローバル範囲での租税回避の対抗策としては主にBEPS行動計画とCRSの二つです。
両者の共通点としては、BEPS行動計画とCRSのいずれも、税源浸食及び利益移転に係る租税回避行為に対抗するという共通理念の下で、OECD主導によって考案されたグローバル対抗策です。
両者の相違点としては、BEPS行動計画は、グローバルに事業を展開する多国籍企業をターゲットとする法人版租税回避の対抗策であることに対して、CRSは、グローバルに資産、特に金融資産を有する個人をターゲットとする個人版租税回避の対抗策です。
BEPS行動計画とCRSの背景は、税の視点に絞って簡単に言うと、特に90年代から問題視されてきた多国籍企業や富裕層の大胆でかつ大規模の租税回避行為によって生じた国家間の税源配分の不公正、納税者の税負担の不公平を是正するためのものです。
コロナの影響による深刻な財源不足を補うためにも、各国は租税回避行為を阻止する理念とするBEPS行動計画及びCRSを通してより一層の課税強化を行うことを推測しています。
次回は、第1回で取り上げたI社の課税事案について、著者の個人的観点を述べたいと思います。
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